【コラム18】髪を整えた日、少し表情がやわらいだ見えない心を整える“整容”の力

「なんか今日、とっても表情がやわらかいね」

髪を整えたあと、そんな言葉がふと出ることがあります。

たったこれだけかもしれないけど…

・髪を切っただけかもしれない。

・前髪を整えただけかもしれない。

・少し髪をとかしただけかもしれない。

でも・・・

・表情が少しやわらぐ。

・鏡を見る。

・前髪を少し触る。

・家族の声かけに、少し反応する。

その小さな変化に、「あれ、なんか違う」と感じる瞬間があります。

■命を守ることが最優先。だからこそ、整容は後回しになりやすい

医療や介護の現場では、

・命を守ること。

・安全を守ること。

・生活を支えること。

それが最優先です。

・呼吸。

・食事。

・排泄。

・服薬。

・通院。

・体調管理。

・医療的ケア。

・転倒予防。

毎日、これだけでもで精一杯。

だから、髪のことまで手が回らない。

・鏡を見る時間が減る。

・身だしなみは後回しになる。

それは決して悪いことではなく、これが現実です。

でも私は思います。

・命を守る医療。

・生活を支える介護。

その先に、“その人らしく生きるための整容”があってもいいのではないかと…

■整容は、見た目だけではなく尊厳に関わる

きれいごとでもなく、髪を整えることは、ただ見た目をきれいにすることではありません。

・清潔を保つこと。

・不快感を減らすこと。

・表情が見えやすくなること。

・人に会いやすくなること。

・鏡を見てもいいと思えること。

そして、“私は私でいていい”と感じられること。

それは、その人の尊厳に関わることだと思っています。

・寝たきりでも。

・認知症でも。

・障がいがあっても。

・医療的ケアがあっても。

・年齢を重ねても。

その人が、“ただ介護される人”“ただ支援される人”ではなく、

ひとりの人として大切にされること。

整容には、その感覚をそっと取り戻す力があるのかもしれません。

■「最近、笑わないんです」

以前、こんなご家族がいました。

「最近、笑わないんです」「鏡も見ないし」「髪なんて本人も気にしてないと思います」

そう話してくれました。

毎日、体調のことだけで精一杯。

・通院もある。

・薬もある。

・介助もある。

・眠れない日もある。

正直、髪どころではない。これが本音でした。

でも、少し伸びた前髪が目にかかっていました。

襟足も重くなっていました。

汗で髪が張りつきやすくなっていました。

ご家族がぽつりと言いました。

「なんか、気持ちまで下がっているように見えて」

でもその時も、髪を整えたから何かが変わるとは、誰も思っていませんでした。

■髪を整えたあと、その場空気が少し変わった

・整え終わったあと。

・鏡を少し見る。

・目線が動く。

・また見る。

・前髪を少し触る。

・口元が、ほんの少しゆるむ。

その時、ご家族が言いました。

「なんか今日、とっても表情がやわらかいね」

劇的な変化ではありません。

・急に元気になったわけでもありません。

・病気が治ったわけでもない。

・悩みがなくなったわけでもない。

でも、部屋の空気が少しやわらいだ。

声をかける家族の表情も少し変わった。

「写真、撮ってみる?」

そんな言葉が出た。

本人も、もう一度鏡を見た。

その小さな変化が、私はとても大切だと思っています。

■心を健康にする美容

美容は、誰かを無理に変えるものではありません。

若く見せるためだけのものでも、

きれいに見せるためだけのものでもありません。

私は、美容には心を健康にする力があると思っています。

・自分を少し大切に思えること。

・人に会ってもいいと思えること。

・鏡を見たいと思えること。

・家族が安心して声をかけられること。

「今日、少しいいね」そんな会話が生まれること。

それは、見えない心を少し整える時間なのかもしれません。

■整容は、“その人らしさ”を守ること

髪を整えることは、ただ髪型を変えることではありません。

・その人の表情を見えるようにすること。

・その人の気持ちに触れること。

・その人がその人らしくいられる時間を守ること。

・命を守ることが最優先。

それは変わりません。

でも、命が守られたその先にその人らしく生きることも大切にしたい。

私は、そう思っています。

整容は、贅沢ではありません。

後回しにされやすいけれど、その人の尊厳や心に関わる大切なケアのひとつです。

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