【コラム25】「ホッとしたのは、私の方でした」||家族の緊張がほどける瞬間

髪を整えたのは本人なのに、ホッとしたのは家族だった。

髪を切り終わったあとに、ご家族からいただく言葉があります。

「ありがとうございます。良かった(*^^*)」と。

この言葉の後に続く言葉があります。

それは、「ホッとしました。」

私はこの言葉が忘れられません。

髪を整えたのはご本人です。

でも、安心したのはご家族だった。

・介護が始まってから

・病気が分かってから

・障がいと向き合うようになってから

・認知症が進んでから

家族はずっと、何も言わずに頑張っています。

・本人の体調を気にする。

・薬を管理する。

・病院へ連れて行く。

・食事を準備する。

・制度を調べる。

・仕事と両立する。

・子育てもしながら。

そして、誰にも言わず、ずっと気を張っている。

だから本当は、髪が伸びていたことに困っていたわけではないのです。

・鏡を見なくなったこと。

・笑顔が減ったこと。

・目が合わなくなったこと。

・写真を嫌がるようになったこと。

・「どうでもいい」が増えたこと。

その変化に、心を痛めていたのかもしれません。

以前、あるご家族が言いました。

「髪が伸びていることより、母が母らしくなくなっていくことがつらかったんです。」

私はその言葉に、整容の本質が詰まっている気がしました。

【整容=その人らしさを大切にする日】

ご本人は少し緊張していました。

ご家族も少し不安そうでした。

でも、髪を切り、整え終わったあと。

・ご本人が鏡を見る。

・少し照れながら笑う。

・前髪をそっと触る。

そして、ぽつり。

「さっぱりした。」

その瞬間でした。

ご家族の表情が変わったのです。

・肩の力が抜ける。

・張りつめていた空気がゆるむ。

・安心したように笑う。

そして、涙ぐみながら言いました。

「久しぶりに母らしい顔を見ました。」

⸻

私は何度も見てきました。

ご本人が笑った瞬間に、ご家族も笑顔になる姿を。

整容は、髪を切ることだけではありません。

・ご本人の尊厳を守ること。

・その人らしさを守ること。

・失いかけていた自己肯定感を取り戻すこと。

そして、ご家族の心にも、安心を届けること。

私は、すべて整容の大切な役割だと思っています。

・命を守る医療。

・生活を支える介護。

そして、家族の心にも安心を届ける整容。

それは、目には見えないけれど、確かに存在する、

とても大切なケアだと感じています。

今、伝えたいこと。

髪を整えたのは本人なのに、ホッとしたのは家族だった。

整容は、尊厳のため。自己肯定感のため。

そして、家族の安心のため。

⸻

それもまた、その人らしく生きるための大切な時間なのだと思います。

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