【コラム31】「もう私なんて…」その言葉が、少し変わる日

「私はいいから。」

「もう歳だから。」

「誰も見てないから。」

「今さら髪なんて。」

⸻こんな言葉を何度も聞いてきました⸻

病気になってから。

介護が必要になってから。

認知症と診断されてから。

障がいと向き合うようになってから。

人は少しずつ、自分のことを後回しにしてしまうことがあります

・髪を整えること。

・おしゃれをすること。

・鏡を見ること。

こんなことよりも、もっと大切なことがあるからと…。

・家族に迷惑をかけたくない。

・お金をかけたくない。

・手間をかけたくない。

そうやって、自分の気持ちを心の奥へしまい込んでしまうことがあります。

でも私は思うのです。

・本当に、髪を整えたくなくなったのでしょうか。

・本当に、鏡を見たくなくなったのでしょうか。

・本当に、その人らしくいたい気持ちまでなくなったのでしょうか。

私は、そうではないと感じています。

それは、

髪を整える。

前髪を整える。

顔まわりがすっきりする。

そして、鏡をお渡しする。

すると、最初は見たがらなかった方が、そっと鏡をのぞき込みます。

前髪を触る。少し口元がゆるむ。

そして、

「あら、思ったよりいいじゃない。」

「若くなったかな。」

「さっぱりした。」

ふとしたこの一言が私は、この言葉が大好きです。

そこには、その人自身がいるから。

・病気でもない。

・認知症でもない。

・障がいでもない。

⸻ひとりの人として、自分を見ている瞬間だから。⸻

髪を切っただけかもしれません。

そして、

病気が治るわけではない。

介護が終わるわけでもない。

生活が大きく変わるわけでもない。

でも、心の中で何かが少し変わることがあります。

「もう私なんて。」そう思っていた人が、「自分を取り戻す瞬間」がある。

私は、その変化こそが整容の力だと思っています。

整容は、見た目を整えることだけではありません。

・尊厳を守ること。

・自己肯定感を守ること。

・家族に安心を届けること。

・人とのつながりを守ること。

⸻自分自身を大切にする気持ちを思い出すこと⸻

誰かのために生きてきた人ほど、自分のことを後回しにしてしまいます。

だからこそ、たまには自分自身に問いかけてほしいのです。

「私はどうしたい?」

髪を整える時間は、その気持ちを思い出す時間でもあるのかもしれません。

髪を切ることは、見た目を整えることだけではない。

自分を大切にする時間でもある。

「もう私なんて・・・」

その言葉が、「またお願いできる?」とこころの変化が見える。

私は、この小さな変化を大切にしたいと思っています。

整容は贅沢ではなく、その人らしく生きるために必要なケアです。

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ご本人の状態だけでなく、その方の人生や想いも大切にしながら、「その人らしい整え方」を一緒に考えています。

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